2011.09.W.ブライアン・アーサー 有賀裕二監修 みすず書房 ¥3,700(税別)
原文は THE NATURE of TECHNOLOGY What It Is and How It Evolve この方が内容を表現しているように思えます。
「本書のテーマは、(中略)テクノロジーのための進化論である。」とし、テクノロジーの基本的原理として次の3っつを挙げています。(P33)
1.テクノロジーは ー すべてのテクノロジ ー は組み合わせである。
2.テクノロジーの各コンポーネントは、テクノロジーの縮小形である。
3.すべてのテクノロジーは通常いくつかの効果、あるいは現象を利用し、活用している。
ここから議論が進んで行きます。「既存のテクノロジーの組み合わせから新しいテクノロジーが生まれる」と全体を通して組みあわせ論が基底にあります。私は此処にもう一歩同意できません。最初からここに引っかかって、その後の理解も深まりません。之は私の思考の硬直性を意味するものと思いますが、、。
しかし、後半は読み応えがあります。少々長くなりますが、最終章から引用します。
遺伝子工学や人口知能、生体工学、気象工学が誕生し、現在の私たちは、テクノロジーを(または自然を)利用し、直接内側から自然に介入しようとしている。だが、森林や草原を住処としている私たち霊長類やその他の動物たちにとって、こうした自然への介入は想像を絶する不自然な行為である。このことは私たちの自然への真摯な信頼を動揺させる。
人は知らず知らずのうちに、さまざまな形でこの深刻な不安に反応している。
(中略)
私達は人間であり、経済的充足以外のものも必要だ。人間は挑戦を必要とし、意義を必要とし、目的を必要とし、自然との共存を必要としている。テクノロジーが人間からこれらを引き離すとしたらそれはある種の死をもたらす。逆にテクノロジーがこれらを高めるなら、テクノロジーは人生を肯定する。私たちが人間であることを肯定しているのである。
* テクノロジーの発展は人類を幸せにしているのか。テクノロジーが発展すればするほど我々はジレンマに行き当たる。つまり、「テクノロジーへの大きな希望と人間としての自然への深い信頼感という、巨大で無意識な二つの力のはざまに捕らわれてしまう」のである。まさに、我々日本人がフクシマで体験していることである。
(中略)
いま、フクシマで起きていることは、決して我々の想像や創造を超えることではない。人間がイノベーションを起動させる進化の一部であるならば、想像を超える創造(復興)も可能である。
(京都大学教授 西村和夫評:日経) (柏崎)